2014年09月14日

直角なぼくら

かなえさんは、ふわっと笑って消えてしまった。
できるだけ灰を散らさないように、匂いをのこさないように、深呼吸のような衣擦れだけを僕に残して、消えてしまった。

僕らは、なんでもない話をして、思い出しづらい生温い幸福を重ねたけれど、中身を、言葉にしたことはなかった。
どう見て、どう思うか、表現すれば良かったのかもしれない。
けれども僕は思うのだ。
言いたいこと、言わなきゃいけないこと、言っちゃいけないこと、言わなくていいこと、が世の中にはあるけれど、
言いたいけど言えなかったこと、は、たぶんいつだって、言わなくて良かったこと だと。

同じ視点になるのは無理だし、真っ向勝負の度胸も僕にはない。
見ない振りができるけど、さわることもできる距離と角度。
僕はかなえさんのそういうところが、たまらなく愛しかった。
かなえさんはたぶん、本当はその倍さみしかっただろう。

消えてしまったかなえさんは、一晩で血をからしたあの夜の前に、また望んで佇むんだろう。
僕らはもうあの小春日和のような汗をかくことはない。

今僕は思う。
最期に言い残したことはないかと聞かれたら、その時には、
あなたを愛している、と打ち明けたい。

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2013年07月21日

おてんとさん

わたしが、さよなら だと思った言動はすべて
いってらっしゃい だったんだろう。
今になって気付くことばかりだ。ごめんね。
ありがとう。



今変われなければ、もうずっと、一生、変われない。
できるだけ長く、毎日自分に言い聞かせ続けたい。
あとからきっと、人の心がついてくる。
そうすれば、わたしはまた、自分を好きになれるかもしれない。
見てくれているひとはきっといる。
誰もいなくなったとしても、神様が見てる。
わたしもいつか、太陽に顔向けできたら。



もう、格好つけてごまかすことはできない。
ほんとうは何も変わっていないけれど、遠回りのひつようがあった。
なくしすぎたけれど、まっすぐは進めなかった。
軌道修正が、あまりにもへたくそだったのだ。

手を空にしてはじめて、抱きしめられるありがたさが改めてわかった。
だから、手を空にして、抱きしめたいと思った。
カウントダウン。
深呼吸をしながら、わたしは待っている。
水底から見える太陽。水面にゆらめく魚の影。

ここで深海に目を凝らすことよりも、
水面の影を追いかけるために。
一生溺れたままでも。
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2013年06月28日

ひとにはあまりいえないこと

直接依頼するよりも、気付いてもらうことの方が
最終的に円滑になることもある。
依頼だと、頼まれたから、という本意ではないことになる可能性があるからだ。
でもそれはエゴじゃないのかな。さじ加減。

また、けっきょく、
うっくつとして、きをつかわせて、きをつかって、なくしてしまうのかな。

わたしなしで生きていけるのに、
わたしなしで生きていける人と生きていたい。
ただそこにいてくれたらよかった。

あの夏の、むせた呼吸に無性に会いたくなるのは、わたしがこずるい人間だからだ。わかりきったことだ。
ふしぎな関係と、ふしぎな、やり場のない気持ち。
純粋な欲求ゆえに、ひどくきたない。
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2013年05月09日

ぶす

じぶんのこころを武器にした、たったひとりと一対一でいるつもりだったら、
なんとうしろにたくさんの透明人間がいた。
かれらは、優しさという名の無責任を武器に、片耳に耳栓を防具にして、蚊帳の外からわーわー騒いでいる。
わたしの相手はそれを取り込んで、どろっとした大きな武器にして、こちらに投げかけてきた
そういう風に感じた。
誰も捨てられないあの子の優しさを手玉に取っている。それはまさにわたしと同一のものなんじゃないだろうか。わたしのいえたことではないが。

わたしが全面的に悪なのは間違いないが、それはそこじゃない。
これだけ複雑なことにしたのが罪なんだ。それはわたしの甘さや未熟さにほかならない。
けれど誰にも自己責任がつきまとうはず、それが無視されている。わたしはわたしに責のないことまでは背負わない。
かなしいが、選んでいく。

世界は複雑怪奇で、混沌としている。こころがまざりすぎて、みえなくなっている。
整理整頓を怠ると取り返しがつかなくなるいい事例だ。代償は大きいけれど、これもまた仕方ない。じぶんで蒔いた種は刈り取る。雑草は無視する。
いじょう。

………………………………………

受け入れる精神は二度どころじゃない、三度はお目見えしてるし、なんなら毎日発揮してた。

みんなわたしを大切にしてくれるからわたしもわたしを大切にしろっていうけど、
わたしはわたしが大切にしたいからするんであって、
みんなが大切にすることは、わたしがたいせつにする理由にはならない。
自己責任だよ、ありがたいけど。
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2013年01月13日

まほろば

みせてくれよ、きみの
きらめくいのちの痕跡を

狂ってしまいそうだ
にんげんでいることは、
ひどくつかれる。

擦り切れてひび割れたわたしという容れ物から
こぼれてしまわないようにと
穴を塞いでいてくれた さかな

それを引き剥がして
あふれるがままにこぼして
大皿にぶちまけた
崩れた わたしといういれものを
その破片を拾い上げて撫ぜる長い指があった

澱んだ水で さかなを笑わせることがなくて
ほんとうによかった
けれど、気付いてしまった
一度放ってしまった魚は
二度とわたしの水では泳がないのだと
だって、しんじゃった
しんじゃったもの
きれいな鱗の
生命力に満ちた魚

あちこちにこびりついてはがれない
きらめくいのちのかけらをも
わたしは今
見失いかけている
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2012年12月31日

めも

はがれかけのシール、心と体
体に魂をしばりつけないでほしい。
定着しない魂ははがすべき
正直は残酷
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2012年11月29日

Flavor of life

眼下の紅葉が、狂ったみたいに散ってゆく。わたしはなんでもない顔で煙草を吸いながら、ドアが開くたび、その影に怯えたり安堵したりする。
枯れ果てた命のかけらが、閉ざされたドアのすきまにはさまって、きしむ。金木犀の残り香がわたしを時々責め立てるみたいに笑う。

閑散とした月の夜、ハリボテのわたしが見抜かれてしまった。それすら赦されそうになってしまった。
そのひとは思いもよらぬところを指さして、あろうことかそこに向こうからノブを作ろうとしている。
決してノックはせず、ただ、ここにいるよ、と、壁越しに声をかけてくる。
ありがたいことだ。たいせつにしたいし、しなければいけないとおもう。
けれどそのドアを開けることは、さむくてあかるいところへ行くことだ。
大きな穴を活かすために作り上げた、大きなドアを閉ざすことだ。
それはできない。してはいけない。
雨上がりに嗅いだあの太陽の匂いを、終わりに気付いて流した涙を、忘れてはいけない。

ただ素直に笑えたなら、どんなにか息をしやすいだろう。
まだ完成していないドアを気にかけて、手伝いもせずただそれが作られていくのを眠そうな目で見ている。
だれが幸せになるんだろう、って、ほんとはすこし、おもう。

あの小さなノブをつかみたいんじゃない。
どのドアにも影響なく開ける、風通しの良いドアがあるはずなのだ。
わたしはそれを探している。作らなくていいよって言えないくせに、望まれるドアを開けられないじぶんを責めながら、この頑固さを褒めながら、ごめんねって思いながら、それでも失いたくなくて足掻いている。
いつか消耗するその手を、誰かのあたたかい手があたためたら、と、無責任に思っている。
今はともかく、最善を、さがす。みんなの願いを、すこしずつでも、同時に叶えたい。本当はただ、わたしがよろこびたいだけでも。

空のコーヒーカップに雨がたまって、落ち葉がわたしの頬をやさしくぶった。
眠るには早すぎるよ。と。


posted by はるな at 14:47| Comment(0) | 妄想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする